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賃貸経営でリフォーム・リノベーション費用を経費に計上できる?


賃貸のマンションやアパートなど不動産を持っていると、内装や床など、何かとリフォームの機会があります。室内だけでなく外階段や外壁などの共有部分のメンテナンスも必要です。不動産経営の必要上、リフォームを行った場合は経費に計上できます。しかし、どのような項目になるのでしょうか。またどこからが資産とされるのでしょうか。

1.賃貸経営ではメンテナンス費用が大きい

大小に関わらず、不動産を所有していると修繕などのメンテナンスを避けては通れません。共用部分の照明の電球の交換など細々としたものに始まり、入居者が住んでいる部屋のエアコンの修理や交換、給湯器やトイレの設備の修理、換気扇などの交換、割れた窓ガラスの修理、部屋のクロス張替え、畳をフローリングにする、といった内装のリフォーム、そして大規模な工事としては、外壁の塗装や、外階段の修繕、屋上防水などが挙げられます。

アパートやマンションの賃貸経営の場合、入居者が退去するたびにクリーニングだけでなく、壁クロス、床など内装のリフォームを行ってから次の入居者を迎えなければならないことが多いです。タバコを吸う人が住んでいると白いクロスは黄ばみますし、ペットがいると床のフローリングも傷だらけになったりします。トイレや給湯器などの設備も老朽化します。

次の入居者に気持ちよく入ってもらえるよう、部屋が空くたびに内装をフルリフォームする大家さんも多いです。近年、築古物件は空き部屋も多く、大家さんも入居者を獲得する競争力をつける必要があります。

設備交換や間取り変更などが入って大規模な工事になると、それはリノベーションと呼ばれます。リノベーションを施したマンションは、リノベマンションなどと呼ばれ、入居者にとても好まれています。

また、古い物件の場合は風雨にさらされる外壁や外階段も傷んだり錆びたりしますので塗装し直したり、雨漏りなどしないよう防水を行ったりする必要があります。こうした外観の老朽化も入居者の獲得に影響しますので、修繕を行い、きれいに保たなければいけません。また、入居者が安心して住めるために、耐震補強工事が必要になることもあるでしょう。

2.リフォーム工事費用は経費か資産か

原状回復工事や小さな修繕も含めて、リフォームやリノベーションを行う場合の注意点は、支出した費用がすべて経費にできるとは限らない点です。

これらの修繕にかかる費用はほかの経費と比べて金額が大きい傾向で、納税額に大きな影響を与えます。修繕工事やリフォームを行ったとき、税務上ではその内容によって修繕費か資本的支出に分かれることになります。修繕費と認められた場合、その修繕工事やリフォームを行った年に全額を必要経費として組み入れられます。

しかし資本的支出となった場合は、まず資産に計上して、その後資産の耐用年数にわたって減価償却費として経費化していきます。一括で経費にできるか複数年にわたって経費にできるかどうかが異なります。

基本的な考え方としては、使用可能期間が延長することや固定資産の価値を高める支出は資本的支出になり、原状回復とみなされるものは修繕費になります。しかし、この一つひとつの判別はなかなか難しいといえます。

2-1.「修繕費」なら経費にできる

修繕による支出は、内容や金額によって、税務上では「修繕費」と「資本的支出」といった項目に分けられます。 「修繕費」は、部屋を元の状態に戻す原状回復を目的にした支出です。「修繕費」に該当する場合は、支出した年にその全額を必要経費に計上できます。

具体的には、例えばクロスの張り替え、床の補修などです。エアコン、システムキッチンやユニットバスの入れ替えはどうでしょうか。かかった費用が20万円未満の金額の場合、細かい判断は不要で、全額「修繕費」としての計上を可能としています。

2-2.「資本的支出」は減価償却費として計上

「資本的支出」とは、新築したとき以上に物件の価値が上がることや、耐用年数が延長する工事に対する支出のことです。主にリノベーションが該当します。具体的には、間取りの変更、増築など、大規模な工事です。

外壁塗装はどうでしょうか。建物については、年数の経過により外壁のひび割れやシーリングの割れ・劣化などが生じます。そのままにしておくと雨漏りが発生したりするため、定期的に外壁塗装工事を行う必要が生まれます。この工事代は、基本的には原状回復のための修繕費として必要経費とすることができます。しかし、外壁をタイル貼りにする、防水加工する、耐震機能を強化するといった、新しい価値をプラスした場合は、固定資産である建物に付加価値を与えたとされ、原状回復とは認められず「資本的支出」に区分けされます。

「資本的支出」となると、資産として計上することになります。必要経費として毎年、計上できるのは、全工事費用を減価償却費として耐用年数で割った額です。

2-3.耐用年数47年の住宅を100万円で修理した場合

例えば、工事費用が100万円かかったとします。その全額が「資本的支出」とされた場合、定額法で減価償却していくことになります。定額法とは、毎年、一定額の減価償却費を計上する方法で、建物は定額法で減価償却することが定められています。

鉄筋コンクリート造の住宅の耐用年数は47年とされているので、100万円の工事費用の年当たりの償却額は2万2,000円に留まり、工事の出費があった年の税金はさほど安くなりません。

もし、これを全額「修繕費」とした場合は、100万円全額が経費にできるため、その年の税金が安くできることになります。

3.修繕費で計上できる工事とは?

「資本的支出」にあたるのは明らかに建物の価値を高めるもの、または建物の耐久性を増すものという定義であり、日ごろの維持管理や原状回復のための工事であれば、修繕費とすることができます。

その判別はなかなか難しいですが、目安としては、リフォーム工事や修繕などにかかった費用が、①20万円未満の場合、または、②3年以内の周期で行われる、原状回復のための修理や改良、であれば、修繕費として必要経費に計上処理してよいとされています。

②にあたるか、どうしても判断できない場合は、③工事費用が60万円未満であれば修繕費にできます。

したがって、リフォーム工事費用を経費とするためには、一つの工事の費用が少額であればあるほどよいということになります。いっぺんにリフォームせず一部屋ずつリフォームするのもよいでしょうし、工事費用を細分化できないか、業者に相談してみるのも一つの方法でしょう。


4.リフォーム・リノベーションで攻めの賃貸経営を

おしゃれな新築のデザイナーズマンションが人気な近年、空き室が出がちな築古物件の大家さんも、リフォーム・リノベーションによって、競争力をつけることができます。

しかし、さほど経営に余裕のない大家さんも多いのが現実です。そのような場合はポイントを絞って部分リフォームを行うという方法をおすすめします。例えば入居者が入れ替わるたびに壁クロスを全部張り替えるのではなく、アクセントクロスを一面だけに張ったり、照明のみ替える、棚やカウンターを設置したりするなど、一点突破の小規模なリフォームを行うだけでも、入居者を呼び寄せる効果が得られることもあります。ここまで述べてきた通り、小さいリフォームであれば経費として計上可能です。

5.まとめ

賃貸経営にリフォームやリノベーションは欠かせませんが、リフォーム・リノベーションの費用は「修繕費」として経費に計上するか「資本的支出」としてみなされるかによって経営に大きく影響します。

建物の劣化を修繕するだけに留まらず、新しい機能を加えるようなリノベーションは必要経費と認められず、建物の価値を高めた「資本的支出」としてみなされ、減価償却となることがあります。小規模なリフォームをこまめに行い、修繕費として計上したほうが節税になることを知り、堅実な節税対策を行いましょう。

「池田建築株式会社」では、愛知県春日井・名古屋エリアの耐震リフォームやバリアフリーリフォームをはじめとしたリフォームを積極的に承っております。賃貸経営のマンション・アパートのリフォーム、リノベーションに関しても、大家さんを助けるたくさんのアイデアがあり、ご相談にきめ細かく応じられます。空き室が出たら、お気軽にお声がけください。