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基礎工事の耐震リフォームとは? 地震大国に安心して住むために


住宅の基礎工事というと、新築への建て替えが必要と思いがちですが、老朽化した中古住宅のリフォームでも基礎の補修を行うことが可能です。自治体の耐震補助制度も利用できます。「古い家で地震が来たら心配だ」「この家には愛着があり、住み続けたい」「新築の建築費用が足りない」といった方は、ぜひこの記事を読んで、基礎の補修工事を伴ったリフォームについて検討してみてください。

1.基礎のリフォームが選ばれる理由

基礎とは、住宅の土台であるコンクリートの部分を指します。コンクリートはアルカリ性で、鉄筋の錆を防ぎ、土台をしっかり支えています。

築年数が経った古い建物の土台を耐震構造にするための改修工事は、内装や外壁塗装などの工事に比べかなりの工数と費用がかかります。土台が傷んだ場合、新築への建て替えや住み替えを考えるのが通例でしょう。

しかし、実際には基礎のリフォームは近年かなり盛んに行われているのが現状です。新築への建て替えを選択せずに、古い住宅のリフォームが選ばれる理由はなぜでしょうか。

1-1.基礎のリフォームが増える理由①基礎の経年変化、耐用年数越え、旧耐震基準

丈夫なコンクリートの基礎も、空気や雨水にさらされると徐々にアルカリ性を失い中性化していきます。コンクリート自体は中性化しても強度は変わりませんが、鉄筋の錆を防げなくなります。錆びた鉄筋は膨張し、外側のコンクリートが剥がれてしまう「爆裂」という現象が起こります。

鉄筋コンクリート造の建造物は耐用年数が47年となっています。高度経済成長期に建てられた鉄筋コンクリート造の建物は、軒並み耐用年数を越えつつあり、建物の強度が心配されています。また、地震大国である日本においては、耐震の問題があります。耐震基準の改正は1981年と2000年に施工されており、1981年以前のものを特に旧耐震基準と呼んでいます。旧耐震基準で建てられた建物は震度6強以上の大きな地震には耐えられない可能性があります。

1-2.基礎のリフォームが増える理由②布基礎からベタ基礎への流れ、地盤の弱さ

一戸建て住宅の基礎部分の構造には、布基礎とベタ基礎の2種類があります。2000年以前の一戸建て住宅はほとんど布基礎でした。布基礎は、Tの字を逆にした形のコンクリートが「点」で建物を支える土台となる基礎工事です。

ベタ基礎では、鉄筋入りコンクリートが全面に敷かれた上に住宅が建てられます。布基礎との違いは、鉄筋が入ったコンクリートが「面」で建物全体を支える点です。

2000年以降の基礎工事は、ベタ基礎が主流になりました。地震や大規模な工事などによって地盤が弱くなり、基礎部分が沈下して住宅が傾いたりする不同沈下が増えたことが理由とされています。

1-3.基礎のリフォームが増える理由③新築にはデメリットもある

家を新築するには多額の費用がかかりますし、住み慣れた家を解体したくないと考える方もいます。また、建て替えをするにも自治体への建築申請が必要になります。しかし、建築基準法により、敷地が幅4m以上の道路に2m以上接道していない土地には建築許可が下りません。敷地を後退させる必要があって敷地が狭くなったり、建築面積が狭くなったり、場合によっては再建築不可とされることもあります。

そのため、最近は築何十年という古屋を基礎からリフォームして住み続けるというケースも多くなっています。若い方がわざわざ古い家を選び、レトロな雰囲気を楽しんで住んだり、おしゃれな店舗に改造することも増えていますが、その場合にも基礎のメンテナンスが必要になるでしょう。

2.基礎補修工事の種類と費用の相場

基礎工事には、大きく分けて①耐震リフォーム、②布基礎からベタ基礎への建て替え、③全面的なリフォームを含むスケルトンリフォームの3種類があります。

2-1.耐震リフォーム

基礎工事を伴う耐震リフォームでは、新しい耐震基準に準拠して改修工事を行います。

基礎に鉄筋の入っていないコンクリートが使われていれば鉄筋コンクリートで補強し、基礎部分にクラック(ひび割れ)が見つかれば補修します。木造住宅に耐震補強を行う基礎工事の費用は、平均で152万円程度というデータがあります。工事箇所が多くなるほど費用がかかり、旧耐震基準で建てられた住宅の基礎工事では平均180万円ほどになります。 また、鉄筋コンクリートの建物に耐震補強工事を行うと、面積1㎡当たり1万5,000円から5万円程度がかかることが報告されています(東京建設業協会調べ)。耐震リフォームの場合は、補助金が受けられる自治体も増えています。

2-2. 布基礎からベタ基礎へ打ち替え

古い一戸建て住宅で基礎工事を含むフルリフォームは、布基礎からベタ基礎へ打ち替えることが多く、基礎だけでもおよそ80万円から280万円程度の費用がかかります。

主に鉄骨造の建物の基礎に用いられてきたベタ基礎ですが、2000年以降は耐震性が高く沈下しにくいという理由から、布基礎に代わって、木造住宅の基礎工事にも推奨される傾向があります。しかし地盤によっては布基礎のほうが安全な場合もあります。

2-3. スケルトンリフォーム

基礎と骨組みだけ残して、スケルトンな状態から大規模に改修するのがスケルトンリフォームです。基礎がむき出しになるので、しっかりと耐震補強工事を行うことが可能になります。

内装のみのリフォームより自由度が高く、間取りや設備も変えられ、断熱などの機能面でも新築同然の建物に生まれ変わります。その一方で、一定の補強は必要でありながら、基礎や柱は使い回すため建て替えより費用を抑えられる点で需要が増えています。基礎工事を含めたスケルトンリフォームの費用は20坪で、700万~1,000万円程度かかります。

3.フルリフォームにかかる全費用の相場と期間

さらに基礎工事をやり直して、全面的に新しくするリフォームをフルリフォームと呼ぶこともあります。

築30年以上の木造住宅の場合、スケルトンリフォームする過程で、基礎が予想以上に劣化しているなど、建物と基礎にズレがあるといった欠陥が判明して、結果的にフルリフォームとなってしまうこともあります。こうなると基礎工事だけで数百万円単位となり、費用は新築とほぼ変わらず、20坪で1,000万円を超えることがあります。

4.自治体の補助金を利用した耐震リフォーム基礎工事の流れ

耐震リフォームについては補助金が受けられる自治体が増えています。補助金の上限はかなり幅があり、5万~10万円というところもありますが60万~100万円以上補助する自治体も少なくありません。自治体の耐震診断を受けることが条件になっている場合も多いようです。

4-1.耐震リフォームの補助金制度について調べ、耐震診断を受ける

住んでいる自治体に耐震リフォームの補助金制度があるかを調べ、行う工事やご自身が補助金対象となるかを確認します。無料または一部費用負担の耐震診断があれば、ぜひ受けましょう。耐震補強の必要ありと判定された場合、どのような工事が必要か、具体的な補強計画案を聞いておきましょう。

4-2.リフォーム業者探し

インターネットなどで耐震リフォームを行っている業者を調べて、メールなどで問い合わせ、リフォーム内容や費用について相談し、その対応によって業者の候補を絞りましょう。こちらが聞かなくても、自治体の補助金制度について、詳しく説明してくれる業者であればより安心できます。

4-3.見積もり→発注

実際に複数の業者から見積もりを出してもらい、比較検討しましょう。現地調査がおろそかであったり、不必要にこちらの不安を煽ったり、補助金の申請を面倒くさがる業者は避けましょう。

4-4.補助金申請→許可→工事着工→検査→工事完了

補助金の申請手続きは着工前に行います。設計資料などが必要となるため、業者や設計者が代理で申請手続きをしてくれます。また、ほとんどの自治体が工事中の検査や工事後の資料や写真の提出などを義務付けています。

4-4.工事完了届→補助金の入金

一般に、自治体に工事完了届を提出し工事完了が認められれば補助金が入金されます。各自治体によって手続きも異なるため、確認しておきましょう。

5.まとめ

47年の耐用年数を越えているような古い住宅の基礎はコンクリートの強度に問題があります。1981年以前の旧耐震基準の家屋は大地震に耐えられない可能性があります。また、地盤が弱く2000年以前の布基礎をベタ基礎に打ち替える必要が発生することもあります。

費用面や、建築申請の許可が下りないといった事情から新築も難しく、古い家に住み続けたい方は一度自治体の耐震診断を受けて、基礎の耐震リフォーム工事の検討をおすすめします。スケルトンリフォームといった全面的なリフォームのほか、外側からのみの基礎補強工事も可能です。耐震リフォームの補助金が受けられる自治体も増えています。

「池田建築株式会社」では愛知県春日井・名古屋エリアの耐震リフォームやバリアフリーリフォームをはじめとしたリフォームを積極的に承っております。耐震補強に対しては補助金が利用できるケースも多々ございますので、ぜひご相談ください。